アルコール依存症とは

アルコール依存症は、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒が無いといられなくなる状態を言います。そのため一番の治療法は「お酒を飲まないこと」ですが、一度この症状になってしまうと、ご本人が飲まないように努めていても、どうしても飲みたくなる、あるいは飲んでしまうのがこの病気の大きな特徴でもあります。
専門医による適切な治療を受けない限り、ご本人の努力だけではなかなか回復できない病気であります。ご本人はもちろん、ご家族の方もお気軽にご相談ください。

アルコール依存症の主な症状

  • お酒を飲むべきでない時にも「飲みたい」と強く思う
  • 飲む前は量を控えようと思ったのに、いつもの量まで飲んでしまう
  • いつも手元にお酒が無いと落ち着かない
  • お酒が切れてくると、手の震えや発汗がある など

アルコール依存症の治療

アルコール依存症の治療は薬物療法と自助グループが中心となります。(どちらも抵抗がある方は、まずは通院のみで始めても構いません) 薬物療法には抗酒剤※1(ノックビン、シアナマイド)と断酒補助剤※2(レグテクト)が用いられます。このほか節酒を希望される方には飲酒量低減薬(セリンクロ)が用いられます。 自助グループには断酒会とAA(アルコホーリクス・アノニマス)があり、どちらも当事者が定期的に集まって、ミーティングを開いています。アルコール依存症は「孤独・孤立の病気」ですから、回復のためには他者とつながることが重要です。そのために自助グループは大きな役割を果たしています。なお、ご家族のための自助グループもあります。

※1抗酒剤:アルコールの分解能力を低下させることで、少量のアルコールでもひどい吐き気や動悸、顔面紅潮などの強い反応が生じます。つまり一時的にお酒に弱い人のようになります。これによって、お酒を飲むと大変なことになるという気持ちにさせます。ただ、飲酒欲求を直接抑制するものではありません。

※2断酒補助剤:お酒を飲みたい欲求を抑えてくれる効果が期待できるという薬です。ただ、薬の力だけで必ずしも断酒できるわけではなく、専門医の指導が必要となります。